つい最近、宿題と時間割のチェックを一緒にしていると、小学2年生の息子から「ママ、うっせ~(うるさい)!!」と言われて、一瞬戸惑いました(笑) この年代のお母さんに聞くと、家では母親に対して、このような態度をとるお子様も多いようです。
そして、子供が「クソババア」「バカ野郎」と乱暴な言葉を使うと、ついつい目くじらを立てて叱ってしまうと言っていました。こういうとき、母親は「どうしてうちの子がこうなってしまったのかしら。」「付き合っているお友達が悪いのではないかしら。」と心配するようですね。私もそうでした。
しかし、子供が親に向かって家庭でまったく使ったことのない言葉を口にするのは、それだけ子供の人間関係が広がり、「成長した証拠」なのです。むしろ、それを叱って禁止してしまうと、子供の健全な成長の妨げになることも考えられます。
毎日のこととなると、聞いて聞かぬふりも難しいかもしれません。そういうときは、「自動翻訳機」を置いてみることをおススメします。
耳では「クソババア」と聞いても、頭の中で「大好きなお母さん♪」と言い換えてみましょう。
実は、子供は普通の態度をとっていたのでは自分のほうを見てくれない、話をしてくれない淋しさから、親の関心をひくために「クソババア」と悪態をつくのです。
子供の作戦でもあるのですね。「お母さんと一緒にいたい。」「お母さんとたくさん話したい。」と思って普通に話しかけたのでは、「今は忙しいの!」と、なかなか取り合ってもらえません。だからと言って、素直に自分の気持ちを打ち明けることには、少し照れもあります。
そんなときに、乱暴な言葉を使って悪態をつけば、たとえ喧嘩になったとしても、お母さんの注意を自分に向けさせることができることを知っている子供は、そのためだけに「クソババア」と言っているのです。
子供たちは、大人のように、感情表現がうまくできません。子供の言葉を真に受けていちいち叱っていたのでは、子供が自立するまでのステップを中抜きしてしまうことになりかねません。母親への甘えを許されなかった経験は、子供の「自立心」の発達に悪い影響を及ぼすこともあるのです。
とはいっても、どんなときでも絶対に使ってはいけない言葉というものもあります。「死ね」「うざい」など罵り言葉は絶対にダメです。
ノリで口走ったのであろうと、相手を傷つけるような言葉を許してはいけません。根気強くたんたんと伝えていきましょう。
子供の目を見て対峙しましょう。遠くから「ダメよー」なんて叫んでも、子供には届きませんよ。理屈抜きでいけないことがある、と教えることも大切なことです。
ただし、子供がイライラや感情の高ぶりを感じているときは、その理由を聞き出すことも忘れてはいけません。
さまざまな感情を覚えることも、子供にとっては大人になるための大事なステップなのです。
また、ほかの人には乱暴な言葉を使わないのに、特定の人にだけひどい言葉を投げかけることがあります。そういうときは、子供がなにかのシグナルを発している可能性もあります。
親としては、その奥に隠された気持ちを引き出す努力が必要なのかもしれません。
人は、一生をかけてさまざまな言葉を習得します。
乱暴な言葉遣いを直すのも、一朝一夕にはいかないものです。たっぷりと時間をかけて、子供と向き合いましょう。
さまざまな経験をして情緒を養うなかで、豊かな言葉を育てていきたいですね。